発育を続けることができないほど老化が進んだ胚は、選別の網にかかって淘汰されます。
それでは、淘汰を免れた欠陥胚は必ず先天異常をともなって生まれるのでしょうか。また、淘汰の一歩手前まで老化が進んだ精子や卵子が受精すると、生まれる子どもは虚弱児になりはしないか、という不安があります。
しかし、必ずそうなるとは限らないです。なぜなら、動物の体には異常を正常に戻そうとする自然の矯正力が備わっているからです。この矯正力は出生後の体でも働きますが、発生過程の胚や胎児ではとくに広く、かつ強く働きます。
受精卵がいったん発生を始めると欠陥はできるだけ矯正され、受精卵の大部分は一応正常な形態を備えた体に発育します。だから、精子や卵子の老化の程度から予想されるほど大きな欠陥をもつ子どもが生まれることはまれです。
ただ、この矯正力は万能ではないのです。これが作用するのは、内臓、血管、筋肉、骨格、脳幹、自律神経のような、生きるために必要な器官とその機能です。知能のように、生命維持とは直接関係のない大脳機能にまで矯正力は及ばないです。
無脳症はその典型的な例です。脳の大部分が欠損していますが、生命維持機能の中枢が集まっている脳幹は正常に働いており、体の発育は良好なのです。
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